当教室の目的は二つあります。一つ目は、一人でも多くの方にきものを着て頂く事にあります。
一昔前までは、きものを着ていらっしゃる方をよくお見掛けしたものですが、最近では大変希です。この事は取りも直さず、日本の貴重な美術工芸・伝統工芸の衰退につながると考えられます。世界に誇る民族衣装のきものが作られる過程には、何十人にも及ぶ職人の技が生きています。私達がきものを着なくなるという事は、江戸時代に完成されその後脈々と受け継がれてきた、緻密な匠の技を途切れさせてしまう危険性も否めません。それを防ぐ為に、今、私達が出来る事は、きものを着る事とおもいます。
きものを一度でもお召しになられた方は、きものを着た途端、立ち居振舞いが、自ずと奥床しく、しとやかになるという体験をされたはずです。それこそがきものの持つ不思議な力です。そのきものを創り出した先人達の智恵を身に付け、きものと共に日常生活を送った先人達の所作や作法を学びながら、自らの品位・人格を高める事が二つ目の目的です。